謎多き伊西岩(チタン石入り)
【神岡/吉ヶ原】



石友のグリガー氏からいただいた
「伊西岩」です。



大振りのチタン石(チタナイト)がついています。



別名くさび石、スフェーンなどとも呼ばれます。



神岡スカルンは
飛騨片麻岩帯に濃飛流紋岩が貫入して
石灰岩が変成して
生成されたものだそうです。

ということは
理論的にはスカルン鉱床の外側は
飛騨片麻岩が接しているはず。

ところが
スカルンの外側には
成因不明の
謎の岩脈がしばしば見られるとか。

その岩脈というのが
この「伊西岩」です。



命名の由来は
伊西峠付近でよく出現したからだそうです。

成分は
灰鉄輝石(または透輝石との中間)と
カリ長石、石英の斑晶に
くさび石の自形または塊状結晶が入ります。



白色部分が桃色を帯びたものは
(カリ長石のピンクのことではありません
鉛・亜鉛の影響で
鉱床が近いというサインになるといいます。

俗に「酔っぱらい」と呼ばれたそうで
「酔っぱらいが出たぞー」と呼びかけたとか
呼びかけなかったとか。

次の写真は
神岡鉱山に見学に行ったときに入手した
伊西岩のボーリングコアです。



さらにもう一枚は
現地で自採したもの。



伊西岩が謎なのは
写真でもわかるように
スカルンと飛騨片麻岩に挟まれているのに
変成が見られない点が挙げられます。

ということは
純粋に火成岩なのかということになりますが
その成因がわからないのです。