ベスブ石の美晶(そろばん玉状を含む)
【秩父鉱山】


秩父鉱山の某所で拾ったベスブ石の結晶です。



採取してから数年間
公開を自粛していました。

産地の荒廃を防ぐためです。



しかしながら数年が経過し、状況が変わりました。
ネットでもミネラルショーでも
産地が公開されています。



博物館で産地の詳細が公開されたのを確認しましたので
自分も公開に踏み切りました。

とはいえ
ここではやはり「秩父鉱山」ということまでで
とどめたいと思います。



前半の三点は一見
五角十二面体のようにも見える
コロッとしたタイプです。



よく見ると
六角形と四角形の面で構成されています。



ベスブ石は本来、四角柱になる結晶系なので
四角形の面同士が水平になるはずです。

つまりこういうことです。

下の写真の上面は四角形ですね。
そして実は底面も四角形なんです。



写真の奥方向に回転させていきます。



上の写真の手前の面が四角形なのがわかりますか?

さらに奥方向に転がすと
四角形が上面に来ましたね。



この状態で、最初の上面だった四角形が
今は底面になっています。

嘘はついてませんので
あとは信じていただくしかありません。

ともかく
六角形や五角形の面は
何らかの都合で変形したのでしょう。
本来の四角柱状結晶でも
下の図のように
錐面が存在しますから
特別、不可解なことではありません。





続いて、次の三点は
秩父鉱山の特徴的な形です。



いわゆる「そろばん玉状」と言われる形。



まさにそろばん玉みたいな形ですが
こちらも四角形の面を基調に考えれば
それほど奇怪な形ではありません。



やはり四角形の面が上下面となるようになっています。

下図で見てもわかるように
四角形の面である001面と110面とが
90度で交わる「直方体」が基調なのです。



ちなみに十字に平面が入るのは
そろばん玉状の結晶サンプルとしては
とてもよい形だとされています。



以上、秩父採取品の中から
特に形のよいものを
並べてみました。