MINERALOGY


【第三講座】
日本最古の岩石



宇宙が誕生してから138億年で
太陽そして地球を含む太陽系が誕生してから
およそ46億年ほどだと言われています。



では「石ころ」はいったい
いつごろ生まれたのでしょうか。



もちろん、地球そのものが
大きな「岩石」ですから
地球誕生の時が
地球上の「岩石」誕生の時でもある。
そう言えなくもないでしょう。



ですが
ここでは範囲を「地殻」に限定して
考えてみたいと思います。



一言で地殻と言っても
実は大きく二つに分かれます。



一つは海洋地殻。



ドロドロに溶けて燃えたぎる地表を
覆っていたのは水蒸気。



やがて水蒸気は大量の雨となって
灼熱の大地に降り注ぎました。



1000年も続いた大降雨によって
地上には海ができました。
海底では
冷やされたマグマが固まって
海洋地殻となりました。



また
マントルから噴き出すマグマも
海水によって冷やされて
海洋地殻となりました。



これらのマグマ起源の地殻は
玄武岩という岩石でできています。



その玄武岩質の海洋地殻が
何らかの形で再度ドロドロに溶け
そこから花崗岩ができました。



花崗岩は玄武岩より軽いので
浮かび上がって
主に大陸地殻となりました。



いずれにしても
地殻の形成には海の存在が必要でした。



ということは
地球最古の岩石の誕生は
海の誕生の直後と考えてよいと思います。



海が誕生したのは少なくとも
40億年以上前ではないかと考えられています。



なぜなら
40億年前に作られたとみられる
岩石が見つかっているからです。



現在観察できる最古の岩石は
カナダ北西部の湖で見つかった
40億3000万年前のアカスタ片麻岩です。



これはあくまで
見つかっている範囲で、ということです。
もしかしたら
いつか、さらに過去の岩石が見つかるかもしれません。



さて、それでは
日本最古の岩石は、どうなんでしょうか。



それは・・・
手前味噌で恐縮ですが
私、玉扇太郎の住む岐阜県!
七宗町の「飛水峡」と呼ばれる渓谷に突き出た奇岩。
「上麻生礫岩」を形成する礫の一つが
20億年前のものであることが確認されています。



現在、これは日本最古の石ということになっていますが
同じタイプのものが見られるのは
中国大陸です。
おそらく日本列島が形成される過程で
大陸から削り取られたものなのでしょう。



いかに日本列島が
複雑な歴史を経て作られているかを
よく物語っていると思います。



ちなみに
「アカスタ片麻岩」「上麻生礫岩」ともに
岐阜県七宗町にある
「日本最古の石博物館」で見ることができます。



私、玉扇太郎も
現地に取材に行っておりますので
よろしければ
レポートもご覧ください。