【奈良―京都、石の旅】
2018年2月25日(日)〜26日(月)



かみさんが新しく
酒粕を使った菓子を商品化して売り出すということで
奈良の「お酒」とかの神様に挨拶に行き
ついでに京都の会社に用があるというので
茶坊主兼運転手として同行することにした。

奈良のいくつかの神社を回ったあとは
夕方まで自分が好き勝手やっていいことになっていたので
自分が大ファンである新薬師寺の十二神将を拝観したり
石舞台古墳を観に行ったりして遊んだ。

石舞台古墳。
ただの花崗岩の積み木を拝見するのに250円。



かみさんとはほとんど趣味が合わないが
カメラの前ではしゃぐ習性は似ている気がする。

さて、この古墳、一応は蘇我馬子説が最有力候補らしいが
せっかく行くので少し調べてみたのだが
何でも「馬子墓」という文字が書かれているらしい。



どうも「ぼやぁ〜」と薄く残っているシミを画像解析すると
「馬子墓」という文字が浮かび上がってくるのだそうだが
あくまで、どこかの学者さんの異説。

問題のシミをこの目で見てみようと思ったのだが
「なんでも聞いて」というガイドのおじさんに尋ねると
「えー、あたしは20年このガイドやってるが、聞いたことない」
と言われてしまった。

「知らないのかよ」というより
「誰も尋ねたことがないのか!」という驚きが大きかった。



蘇我馬子、蘇我蝦夷と言えば
大化の改新で有名な悪役キャラだが
石室がむき出しなのは
懲罰的に土が取り払われてしまったからだとも言われている。

また一説によれば
洒落っ気の強い馬子が斬新な墓を作らせたとも言われる。

「事実は小説より奇なり」とよく言われるが
歴史に関しては
「事実は地味なり・・・」が定石。

どうせ工事が杜撰で、後年崩壊した・・・ぐらいが真相ではないか。



さて、初日はこの後
新薬師寺で十二神将像を拝み
興福寺と東大寺はあまりの人の多さでパスし
三十三間堂を観て、京都のホテルへと向かった。

新薬師寺でかみさんが何か買ったのだが
かみさんが「おいくらですか?」と聞くと
売り場のおじさん、指一本立てて
「ワンコイン」と。

この後
どちらが異国っぽかったのかで激しく議論したが
「マニュアルなのではないか」という説も出た。

っていうかワンコインっていくらだよ!





二日目はお酒や商売の神様のところをいくつか巡り
その後は龍安寺へ。



ところ変われば石変わる。
在所の岐阜ではチャートばっかりだが
京都では、黒と黄土色の縞模様の石が多く転がっている。



龍安寺の敷石にも、多く使われている。

鑑賞石の世界では虎石と呼ばれるジャンル。
琵琶湖から流出する瀬田川で採取されるので「瀬田川虎石」と呼ばれる。
京都では宇治川と名を変えるので「宇治川虎石」ということになる。

黒色ホルンフェルスと黄土色チャートの互層である。

龍安寺の建物に入るとまず目についたのは亀甲石。



北海道金山のものだろうか。
それとも群馬県上野村のものだろうか。
上野村の亀甲石は国の天然記念物になっているので
こちらの方が「箔」はつくのかな。

他にも秩父亀甲石やら能登亀甲石やら
全国各地で採取されるが
かくいう自分も在所の揖斐川で採取したことがある。

いずれにしても産地を明示していないあたりが「素人だな・・・」と思う。

続いて、石庭のディスプレイがあったが・・・



あまり「こだわり」というものは感じられなかったのでスルー。

さて、石庭である。

入場して一番手前にある五石。



大きいのは、その辺の裏山から運んできたチャート。
他はおもに、なんちゃら片岩。

続いて二石。



これもその辺の山石。

次に中央付近の三石。



大きいのはチャートで、他はなんちゃら片岩かな。

奥に進み、振り返っての石庭展望。



ここまでで5+2+3で十石。

龍安寺の石の配置は難解で、解明されていないとのこと。
そりゃあそうだろう。
こんなの意味があるとは思えない。
意味がないものの意味は解明不可能である。
(あくまで個人の感想です)

さて、全部で十五石あるので、残り五石である。

下の写真の左は、前述した中央の三石。



右側が残りの五石である。
大きいものはやはりチャートで、その他は片岩と山石。



結論、石の種類にも「こだわり」は感じられない。

いわゆる「景色」「景」というものも
まったく自分には感じられない。

難解・・・。
というより勝手に感じろ、というところか。

なお、どこから見ても十四石にしか見えないという都市伝説があるが
実際は、十五石全部見えるアングルが何か所かあったし
十四石未満になるアングルもあった。

最期に龍安寺の石庭の所説ある中で
面白いが意味がわからない「虎の子渡し」というのを紹介しておく。

虎が三匹の子を産むと一匹は獰猛で
普通の子と二匹だけにすると、その普通の子を食い殺してしまうという。

さて、母虎と三匹の子が川を渡るとき
その最悪のシチュエーションにしないために
母虎はどう解決するのだろうか、という算数パズル的な話である。

答えは、下にスクロールしてみてくださいね。
面倒なら、ブラウザの戻るボタンで戻ってください。











































答え。

まず獰猛な子を咥えて渡る。
戻って、普通の子を一匹咥えて渡り、獰猛な子を咥えて戻る。
獰猛な子を岸に置いて、残った普通の子を咥えて渡る。
戻って、最後に獰猛な子を咥えて渡る。

つまり子を失わないために
母虎は一往復余分にするというお話。



で、それと石庭とどういう関係が?

いろいろと釈然としない心のまま
京都での買い物を楽しみ、夕方かみさんの商用に付き合い
帰路についた次第である。