あめつちのはじまり
―ことあまつかみ達のカオス―



古事記によれば
まず、天と地が分かれた。

そして天の方の高天の原には
立て続けに
アメノミナカヌシ
タカミムスビ
カミムスビ
の三柱が出現した。

注目すべき点は
先に天地が分かれて
そのあとで(あるいは同時に)
神が生まれたという順序。

まあ欲がないというか
謙虚というか
畏れがあるというか
さすが日本神話。

神とは言え
人格化されたものが
天地を想像するなどという大それたことは
言えなかったんだなぁ・・・。

世界の神話に詳しくないので深くは言及しないが
少なくとも旧約聖書では
神が「天地あれ」と言ったことで世界が始まっている。

西洋人と日本人の自然観の違いが
こんなところに表れているんだなぁ
と再確認した次第。

なお、古事記には書かれていないが
後にこの三柱は「造化三神」と呼ばれるようになる。
位置づけが後付けされるあたりも
いかにも和製っぽい。
少年マンガにありがちなパターンだったりする。

さて続いて天地の地の方であるが
どろどろの「油」のような状の大地から
まるで「葦の芽」のように生え出した神様が二柱。

ウマシアシカビヒコジと
続いてアメノトコタチである。

大地の生命の源となる神様なのに
この後まったく活躍しない。
祀られている神社もゼロに等しい。

とはいえ、ここまでの五柱を特別に
「別天津神(ことあまつかみ)」
と呼んでいる。

共通点は
単独神であったということと
出現してすぐに見えなくなってしまったということ。

単独神というのは、いまいちよくわからず
性別がないのかと思えば、男女の設定がしっかりあったり
二番目と三番目のタカミムスビとカミムスビは
何となくペアな感じがするし
子孫も登場するので
なんか、曖昧な感じがぬぐえない。

出現してすぐに消えたというのはわかりやすい。
ただし、意味は説明されていないので
憶測するしかない。

「神」度を上げるための演出か
それとも「自然そのもの」であるという演出か
だいたいそのあたりだろう。
さすが和製神話。

テキトーだあ!

テキトーついでに
タカミムスビとカミムスビは後々
タカミムスビは高天原系のボス的なキャラで
カミムスビは出雲系のアネゴ的なキャラで登場する。
全然、消えてないし!

なお「〜ムスビ」つながりでの余談としては
「おむすび」が基本的に三角形なのは
造化三神に由来する・・・
という説があるんだとか、なんだとか。