おのごろ島の成立
―塩こをろこをろに画き鳴して―



最後に生まれたイザナギ・イザナミに対し
先に生まれた神様たちが
隠れた神も隠れぬ神も一斉に
「この漂っている国を固めなさい」と呼びかけ
「雨沼矛(あめのぬぼこ)」を授ける。

神々が一斉にと言っても
原典では「天津神」と書かれているので
「別天津神」は含めないのだろうな、と思う。

せっかく身を隠して神格を高めているのに
出てきてしまっては元も子もない。

イザナギとイザナミは
授けられた沼矛で
ドロドロの油の中を
「こをろこをろ」とかき回して、持ち上げた。

なんと擬音語!
あと
調べたわけではないが
「こおろ」は擬音語であるばかりか
語感は「凍る」「氷」を連想し
意味的には大地を「固まらせる」流れなので
このあたり、関連があるような気もする。

話を戻すと
こをろこをろとかき回して引き上げた矛の先から
塊がポタリと一滴したたり落ちた。

これが、ひとりでに固まった。
つまり
自ずからコロリと固まった。

だから「おのごろ島」という。
その島がいったいどこを指すのかは所説あるが
一説には淡路島の真ん中で
現在「おのころ島神社」がある辺り。

一説には淡路島の南に浮かぶ小さな島「沼島」。
この島全体が「おのころさん」と呼ばれている。

このように
どこを指すのかイマイチわからない島だが
ともかくその島が固まったところに
イザナギ、イザナミの二神が降り立って
「天の御柱」なるものをオッ立てて
「八尋殿(やひろどの)」という神殿を作った。

神殿は「八尋殿(やひろどの)」は
一般的には「広大な御殿」という意味で
特定の神社を指す言葉ではない。
単に
「崇高なる神々の住いなので大きく表現しよう」
ということなのだろう。

後段、イザナギとイザナミの交合へと続く。