神生み
―生まれた神の数の謎―



国生みではさらに小さな島まで合わせると
合計14の島々を生んだ二神。

今度は神々を生んで
神国日本の完成である。

栄えある最初に生まれた神の名は
「大事忍男(おおことおしお)」
実に無名!

びっくりするぐらい無名である。
なぜ無名なのか。
それは・・・誤記だとされているから・・・
みんな触れないようにしているからではないか。

「古事記伝」によれば
この神様は黄泉の国から戻ったイザナギが
禊をする段で生むはずの神だそうで
間違ってここに入っちゃったのではないか
と解釈されている。

まじで?
だって大事な栄えあるポールポジションっすよ。

ところで、間違いと言えば
古事記の謎の中でも有名な謎として
神生みで生んだ神の勘定が合わないという問題がある。

たくさんの神々が誕生するので
古事記編集サイドでは読者のために
いちいち誕生した神々の小計を記してくれているのだが
その小計は
10+8+4+8+8で
総計は38のはずなのだが
最後の合計をはっきりと
35と記しているのだ。

まず、前述のオオトコオシオを筆頭に
いわゆる家宅六神など
小計10が誕生する。
ここをグループAとする。

続いてグループAからペアが出来て
そこから生まれたのが小計8で
これをグループBとする。

さらに続いて誕生するのが小計4で
これをグループCとする。

グループCからペアが出来て
そこから生まれたのが小計8で
これをグループDとする。

ここまでは小計も実数も間違いない。
ところが次がおかしなことになる。

先にグループEと名づけておこう。
まず二神生まれ
続いて有名な火の神であるカグツチが生まれる。
このカグツチを生んだせいでイザナミは大やけどを負い
苦しみの床で
そのゲボから二神を生み
そのフンから二神を生み
そのおしっこから二神を生み
おしっこから生まれた神が単独で子を生んだので
ここは大所帯で
2+1+2+2+2+1で
小計は10となる

・・・はずが
古事記での記載は小計8となっている。

そのため
神生みで生まれる神を全部数えると
実数が40になるのに対し
小計の総和は38!
そして古事記に記載されている合計数は35!

ここに難解な矛盾が生じているのだ。
そう。
答えが3通りあるのだ。

ともかく一番臭いのはグループEである。
なにしろ実数と小計がズレているグループは
ここだけなのだ。

なので個人的には以下のように推理する。

いくら何でも優秀な古事記編纂チームが
「最初から数え間違えて記載した」
などということはないだろう。

となるとミスが起きたのは
「あとからの付け足し」
という余計な作業をしたからではないか

完成後にやっぱり・・・
といってプラス5したんじゃないだろうか。

で、実数が35から40に増えたにも関わらず
小計を直し間違えて
合計は直し忘れて
トリプルスタンダードになってしまった。

どうも臭いのはグループEだね。
ここでぐちゃぐちゃ変なことをやったんじゃないだろうか。

どちらにせよ
これ以上掘り下げるには
専門知識がなさすぎるので
これ以上の与太話は慎むことにする。