不可思議石―マンガン貫入後の変成?―
【秩父鉱山/大黒川原】


大黒川原での採取品です。



ざっと言えば
グリーンのベスブ石が点々とついている
スカルン岩です。



ガラス光沢のある放射状のものが
全面を覆っています。



覆っているのか
母岩そのものなのかわかりません。

珪灰石にしては透明すぎますし
そもそも秩父では
珪灰石はあまり出ないようです。



では可能性は、というと
スカルン鉱物に限定して考えても
透輝石、透閃石、石膏、灰簾石が浮かんできます。

正直、このうちのどれかだとしても
断定する自信は皆無です。



モース硬度がどうだと言っても
こんな放射状集合体では
こすったら飛んでいってしまいます。



珪灰石グループの一つで
CaがMnに置き換わって赤みを帯びた
バスタム石というのがあって
これが秩父ではよく出るようですが
個人的には
そんなの「ピンク珪灰石」でいいじゃないか
という気がします。



謎を深めるのが母岩のツートン。



写真の下側は明らかに
マンガンが流れ込んでいます。



でも透明の針は
この境界線をも無視して
全面を覆っているのです。



素人の浅知恵で判断すると
石灰岩中に
マンガンに富んだ熱水が入り込み
脈ができたあと
さらに熱変成が進んで
放射状の結晶が形成された
としか説明できません。



頭が痛くなってきたので
もっと簡単な方に目を向けてみます。



グリーンの斑点は
おそらくベスブ石で間違いないでしょう。

遠目には緑に見えますが
よくみると茶色い部分も多いです。



ベスブはツートン下側にも見られますから
初生なんでしょうかね。



あと、何かよくわからない
黒い粒々もついています。

ちょっと顕微鏡で見てみます。



わかってはいましたが
やはり拡大してもまったくわかりません。



また謎を増やしてしまいました。
素人が石を一生懸命眺めても
謎が増幅されるだけで
本当にやっかいなことだと思います。