MINERALOGY


【第二講座】
太陽系形成の生き証人―隕石―



太陽が形成され

その周りを塵が回り始めると
塵たちは互いに衝突・合体を繰り返し
やがていくつかの原始惑星が誕生しました。



その残骸となり
地球に飛来したものが「隕石」ですから
いわば
壮大なドラマの「生き証人」です。



「生き証人」たちは今でも
年間、数千から数万個も飛来し続けています。
その成分を分析することで
様々なことが解明されています。



隕石を大きく分けると三種類です。
ざっくり言ってしまえば
岩石層の欠片が「石質隕石」
マントルの欠片が「石鉄隕石」
核の欠片が「鉄隕石」
ということになります。



「石質隕石」は
地球に飛来する隕石の
95%以上を占めています。



有名なものは
1969年にメキシコのアエンデ村に落下した
「アエンデ隕石」や
最近では2013年にロシアに落下した
「チェリャビンスク隕石」が
石質隕石の代表です。



アエンデ隕石には
45億年以上前に作られた物質がふくまれ
これは、発見されている物質の中では
最古のものだそうです。



チェリャビンスク隕石は
2月に落下し、たしか秋には市場に出ましたが
爪の先ほどの欠片でも
価格は数万円していました。
現在はもう安くなっています。
岩石・鉱物の値段には
注意が必要ですね。



「鉄隕石」は
地球に飛来する隕石の3%程度で
主に鉄とニッケルでできています。



有名なものは
ナミビアで発見された「ギベオン」
ロシアの「シホーテアリン」
アリゾナ州の「キャニオン・ディアブロ」
アルゼンチンの「カンポ・デル・シエロ」
などがあります。



ギベオンは4億5000万年前に落下。
シホーテアリンは
1947年にロシア上空で爆発して四散したもの。
カンポ・デル・シエロは
4000〜5000年ほど前に落下。
キャニオン・ディアブロは
落下年代は特定されませんが
アリゾナ州の
バリンジャー・クレーターを作った隕石だと
言われています。



鉄隕石の断面は
独特の模様が観察できますが
「ウィドマンシュテッテン構造」と呼ばれます。
現在のところ
この模様は人工では再現できていませんので
本物の隕石の証と見ることはできます。



最も数が少ないのが「石鉄隕石」で
全体の1%程度しかありません。



鉄ニッケル合金の隙間を埋める
カンラン石(ペリドット)の結晶。
この美しいコラボレートは
決して地球上では作られません。



数が少ないので
高価で取引されますが
高値になる理由は
その希少さだけではなく
やはり美しさにあるようです。



ちなみに数cm四方のスライスチップでも
数万円以上を覚悟する必要があります。



有名なものは
チリのアタカマ砂漠に落ちた「イミラック」
ベラルーシの「ブラヒン」
アルゼンチンの「エスケル」
ロシアの「セイムチャン
カンザス州の「アドミア」
でしょうか。
ブラヒンは
比較的安価で取引されています。



参考までに回収量の比較をします。
【石質隕石】
アエンデ・・・2トン
チェリャビンスク・・・100kg程度
【鉄隕石】
シホーテアリン・・・70トン
カンポ・デル・シエロ・・・100トン
キャニオン・ディアブロ・・・30トン
【石鉄隕石】
どれも、1トン前後



こう見ると
飛来する量から考えて
「石質隕石」の回収量が極端に少ないことに
気づきますよね。
でもこれは
実は当然と言えば当然で
地球上の岩石と見分けがつかないから
見つけられないということなんです。



いかがでしょうか。
隕石が、多少身近な存在に感じられましたか?